ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
俺の恐れていたことが起きてしまった。
あいつ、結局何もしなかったのかよ!
「…ふっ…」
俺はうつむく北川さんの頭を撫でた。
俺がやったことは、意味がなかったんだ。
っていうか、もっといい方法があったかもしれないのに、
見つけられなかった。
どっちにしろ、あいつが去って行くということは北川さんが
悲しむということ。
ただ、普通にフラれるのと、
騙されていたと気づいてしまうのは訳が違う。
「…私……彼女ではなかったけど、
いつも好きって言ってくれてたし、
体の関係もあったんです…
なのに…全部嘘だったなんて……」
「……」
実は体目的な。
ピュアな北川さんが気づくわけないよな。
ってか俺、今、いつもみたいにクールを保ってるけど、
本気であの老け男のこと、
どうにかしたいんだけど。
俺のかわいい北川さんを泣かせて、傷つけて。
次あいつのこと見たら、
冷静でいられる自信がねぇ。
「俺、あいつのこと、
一発殴ってこようか?」