ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない



俺の手にチケットをちゃんと
二枚押し付けて、
にっと子供っぽく笑うと、
北川さんは自分の席に戻っていった。


かわいいなぁ…
かわいいんだけど…
ものすっごく手強い。


さっき釣りバカの田中さんを
見たからかもしれないけど、
今、北川さんが
超レアな大物の魚に思えてきた…



けど俺は諦めない。





その夜、夕御飯を済ませると
テレビはつけずパソコンに向かった。

動画編集ソフトを起動させるのは
久しぶりだ。

いとこの結婚式の披露宴で流す
ビデオを作って欲しいと
頼まれた時以来。


あの日、ゲストの中に
偶然映像関係の仕事をしている人がいて、
俺の作ったビデオを高評価した。


そして、よかったらうちで働かないかと誘われた。

さすが俺。

こんなこともできるなんて、
かっこいいだろ。




しばらく動画作りに没頭した。

ベッドに入ったのは
いつもより数時間遅かった。

疲れているはずなのに、
ワクワクして眠れない。





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