ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない


「あっあのっ……うっ…」

もう自分が落ち込んでいたことなんて
すっかり頭から消えて
パニックになった。

これ、完全に俺が泣かせたよな?

だって、俺しかいないしね、
そうね、うん。

どこだろ…


あ、あれか、チケットを
返すって言ったから!

せっかく俺のために
くれたのに、なんてこと言ったんだ!


「ごめん。チケットは
ちゃんともらうよ。
返すなんて言って悪かった」
「……っ」



ちょっとー!
女の子が泣いたときって
どうしたらいい?

と、内心パニックだけど、
表には絶対出さない。

男はクールがかっこいいからな。

でも、どうすんだよー!


「ちっ…違うんです…
そうじゃなくって…っ…」

え?違う?

じゃあ、余計わからねぇぇ!


「かっ加瀬さんは…悪くなくて…っ…」


なんだ俺は悪くないのか…
ちょっと安心…


「……おいで」

俺は一呼吸おいて、
両手で優しく北川さんを抱き寄せた。




< 30 / 206 >

この作品をシェア

pagetop