ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない


結局、何で泣いてたのかは
教えてくれなかったけど、
あの野球のチケットはきっと
何か特別な物だったのかもしれない。


翌日、天気予報は外れて、雲一つない晴れだった。

出社すると、
流れた契約の話はすっかり消えていて
部長もあんな人に
こだわるより、
もっと別の取引先に力を入れていこうと
言ってくれた。

そして、あのチケットは
二枚とも田中さんに譲った。

せっかく北川さんがくれたけど、
本当に北川さん以外とは
行く気になれなかったし。


すると、田中さんは
意外と律儀な人で、
休みの日、わざわざ連絡してきて、
チケットのお礼に釣れた魚をわけてくれた。

少しでいいと言ったけど、
大漁だったからと、
一人ではとても食べきれない量を
分けてくれ、
フライにでもして、冷凍しておくのも
ありだったけど、
せっかく新鮮でおいしそうなあじだから
北川さんに声をかけることにした。

っということは……


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