ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない

北川さんはそう言って、
あじの南蛮漬けを頭から丸かじりした。

わりと大き目サイズだったし
かたいだろうから心配したけど、
骨までぼりぼり食べてしまったようだ。

なんかそういうとこもいいなと思った。

「やっぱり料理うまいですね。
加瀬さんって」
「わりと特技レベル。
よくプロ並みって言われる」
「はははは。加瀬さんって
絶対謙遜しないですよね」
「ん？」
「いやー、いっつも、
自分すごいだろ感があふれてるじゃないですか」

え？俺が？いつ？

「最初はちょっと、
え？って思ったんですけど、
もう慣れちゃいました！ははは
それが加瀬さんらしさですね」
「俺、そんな感じ？」

北川さんはクスクス笑って頷いた。

「ごめん。
自分で全然気づいてない」