ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
こういう連絡先を押し付けられるのって、
モテモテのハイスペ男子の
俺にはよくあるできごとで
いつもなら礼儀正しく対応してるけど、
今はそんな余裕はない。
俺は置かれたメモを、
伝票入れの白い小さな陶器のカップに突っ込んだ。
そして、また、北川さん達をのぞきこむ。
「……っ」
はっきり言って、嫉妬した。
北川さんは俺と話している時と
表情が全然違う。
もっと、しおらしいというか、
女の子って感じ。
ずっと髪を気にして触っている。
姿勢もピシッとして緊張感がある。
たぶん、お金をもらう活動じゃないな、あれは。
どうみても、北川さんは
あの人が好きだ。
彼氏はいないって言ってた。
あれは嘘だったのか?
それとも、
『まだ』彼氏ではない人という意味だったのか。
どっちだっていい。
北川さんが俺以外の人に恋してるってことに
変わりはないんだから。