ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
ナンパ店員は英語が話せないようだし、
そもそも、その客は英語が分からないようだった。
俺はすぐに、その外国人客が、
ポルトガル語を話してると気づいた。
ポルトガル語か。
簡単な言葉なら話せる。
おせっかいかもだけど、
こういうのはハイスペ男子の見せ場!
が、
北川さんが店員と外国人客を
心配そうに見てることに気づいた。
つまり、あの場へ行くと
俺がここにいることがバレてしまう。
そしたら、二人の様子をうかがえない。
いや、待てよ。
むしろ気づいてもらった方がよくね?
そしたら、
え?加瀬さん、
どこの言葉か分からないけど、話してる、すごーい!
って思ってくれるかも。
目の前にいる、ちょっと老けた
何のとりえもなさそうな男より、
絶対俺の方がイケメン男子だと気づいて。
俺はゆっくり椅子を引いて立ち上がった。
仕草や動き方もクールがかっこいいからな。
しかし、俺より先に、
そこに向かったのは、そのちょっと老けた男だった。