ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
ずっと親しみのわく笑顔で話してくるし、
もし、街で、こいつと田中さん(知らない人だとして)
のどちらかに道をきかなきゃいけない状況になったら、
迷わずこいつを選ぶな。
親切に教えてくれそうだし。
電車でお年寄りに席を譲ってそう。
で、自分がお年寄りになっても、
年下のお年寄りに席を譲ってそう。
一瞬話しただけなのに、そんなイメージが湧く人物だった。
もう一度、彼にお礼を言って、
俺はテーブルに戻った。
北川さんは、キョロキョロして
彼がまだ戻ってこないのを確認すると、
手鏡を出して、前髪を整え始めた。
俺といる時は髪がはねてたって
全然気にしないのに。