ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
第六章
「加瀬さん、最近何かあったのかな?」
「私もそれ、思ってました!
いつもぼーっとして、人の話を聞いてないし、
新人みたいなミスしますよね。
FAX番号間違えたり、社員カードなくしたり」
「あたしもこの前、加瀬さんが、
エレベーターが開いてるのに
乗らずにずっとボタンを連打してるの
見ました!」
はぁ。
何もやる気がでない。
ついでに食欲もでない。
「何かあったのかな?」
「あったっぽいですね」
「なんというか、今の加瀬さんって、
ハイスペじゃなくて…うーん…
ポンコツ?」
「ポンコツ!?ひっど」
はぁ。俺、生まれてはじめて
こんなこと言われた。
普通に落ち込むけど、
もともと地下の最下層に落ちてるから、
これ以上落ち込めない。
「お疲れ様です。
加瀬さん」
コピー機の前で、ボーッとする俺の横に
北川さんがやってきて、
コンビニの袋を差し出した。