ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
「俺、こんなことだって
普通にできるし、彼氏として不足ないですよね?」
「あ、いや…俺…結婚してるし…
それに、男はちょっと…」
パソコンの画面を見ていたから
田中さんの顔は見えなかったけど、
なにか勘違いしているようだった。
「いや、女子からみて俺って、
どう思います?」
「あぁ、なんだ、そういうことね。
そんなの、イケメンもわかってるでしょ。
ハイスペで完璧な彼氏でしょ」
じゃあ、なんで北川さんは
振り向いてくれないのか、
とは訊けなかった。
当たり前だけど。
「あー、でも、イケメン、
時々、外側だけ完璧で、
中身がすかすかだなって思う言動があるね。
あぁ、ごめん、ディスってるわけじゃないけど」
なんか、それ、前にも聞いた気がする。
「それ、どういう意味ですか?」
「うーんとね…
イケメンが言ってることや、
やってることって、
表面上というか…
うーん、例えば、
料理がうまい人が、適当に作った、
プロ並みのごちそうより、
料理の下手な人が作った心のこもった
まずいお弁当の方が嬉しい」
「ん?」