ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
「いや、俺、持つって」
しばらくして、かごはパンパンになった。
北川さんは明かにめちゃくちゃ頑張って
持ってる。
石像を抱っこしてるかのような顔だった。
「俺が買う物ばかりだし悪いよ。
かして」
「……すみません。重いです」
北川さんからかごをひきとる。
全然重くなかったけど、
北川さんにとってこれは重いんだ、と考えたら
ちょっとかわいかった。
二人でセルフレジで会計を済ませた。
なんか、夫婦みたい。
彼女ですらないのに。
「あー、お腹すいてきましたー!
加瀬さんのご飯、楽しみだなー」
その時。
俺は、店員がいる方のレジに並ぶ家族に、
目線が吸い寄せられた。
「……え?」