ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
「……あ、そうなんですね…」
北川さんは静かにそう言って、
小皿に入ったアイスを見つめた。
「私の好きな人なんです。
彼はうちの会社に毎朝来る、
運送便のトラックの運転手さんで、
新人の時、荷受けの仕事をしてて、
仲良くなったんです」
北川さんはちょっと恥ずかしそうに
小皿のふちをこすった。
「あの頃、私は、いつも先輩に怒られていて、
もう仕事を辞めようと思ってたんです。
そんな時、いつも励ましてくれたのが
彼だったんです。
朝、彼の笑顔が見たくて、
彼の朝の言葉が聞きたくて、
それだけの為に会社に行ってました。
いつも彼は私が一日頑張れる言葉をくれました」
あいつなら、そういうこと言えそうだな。
俺の時も、ちょっと嬉しくなる言葉、
かけてくれたし。
「それからプライベートでも会うようになって…」