ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
今日も夕ご飯を一緒に食べて、
デザートに俺の手作りシュークリームを出した。
ハイスぺの俺は、お菓子作りもそれなりにできる。
シュークリームは一度した作ったことがないけど、
ケーキ屋レベルのが完成した。
さすが俺。すごいだろ。
「あの子たちは、シュークリームの皮となり、
こんなにおいしいものに変身したんですね…」
北川さんはシュークリームを
愛おしそうに見つめた。
「でも、不思議ですよね…
卵がこんな姿になるんですよ?」
また始まる。
「考えれば、この世界にあるものって、
全部がそうですよね?
元の形からどんどん変わって、
最後は消えてなくなってしまう…
なんというか、儚いですね。
そう思いませんか?」
深い話!
「確かに。なにもしなきゃ、
いずれなくなる。
今の時代に昔から変わらない形で残ってる古い物は大体、
守られてきた物だしな」
「1000年前の建物とかですね…
ところで、あれは、もしかして…」
北川さんは、キッチンで手を洗いながら、
リビングに横たわる1本の木を指さした。