もう一度、重なる手
「私がアツくんのことを血の繋がりなんてなくても大事だ、って翔吾くんに言ったから。翔吾くんは私の気持ちを疑って、私のことを監視するようなラインを送ってきたり、アポ無しで家に来たりするようになった。アツくんにも、二度と会うなって言われてる……」
隠そうとしたって、どうせアツくんにはいろいろと気付かれているのだ。
隠し事をしてもムダ……。
そう思って話したら、言葉と一緒に堪えていた涙までがぽろぽろと溢れてきた。
「ねえ、アツくん。私、今、翔吾くんのことが好きなのかどうかよくわからない。結婚の話を仄めかされたときから、ほんとうはもう、好きかどうかわからなくなってたのかも……」
最近の翔吾くんにはいろいろと思うことがあるけれど、好きかどうかもわからないまま彼との関係を続けてきた私も酷いやつだ。
私の曖昧な態度が翔吾くんを不安にさせて、過度な束縛をさせているのだろうから。
「フミの今の気持ち、小田くんに伝えてみたら?」
「そんなの、怖いよ。好きかどうかわからなくなったなんて言ったら、翔吾くん、きっと怒る……」
「そうかもしれないけど……。小田くんだって、フミの気持ちがわからないから不安になってるんだろうし。このままじゃ、フミだって苦しいんでしょ」
「そう、だけど……」
涙をこぼしながらうつむくと、アツくんが私の頭に手をのせた。