もう一度、重なる手
私を監視してそばに縛り付けようとする翔吾くんの気持ちは、もはやただの執着で。付き合い始めた頃のように、純粋な気持ちで私を好きでいてくれるわけじゃない。
私も、拗れきった今の状態でも関係を続けたいと思えるほど、翔吾くんのことが好きじゃない。
だったら、もう……。
「たしかに、翔吾くんに昼休みに見つからなければ、アツくんの病院で検査を受けたことは黙ってようと思ってたよ。だけど、翔吾くんを裏切るようなことは何もしてない」
「だったら、もっと必死で言い訳しろよ」
「翔吾くんこそ、もっと私のことを信じてよ」
「信じたくても、史花が信用できない言動ばっかりするんだろ」
「そんなに私は信用できない?」
「できるわけないだろ」
翔吾くんの語気が荒くなる。だけど、翔吾くんが声を荒げるほど私の頭は冷静になっていった。
「……だったら、もう別れよう」
穏やかな口調で私がそう告げた瞬間、部屋の中がしんと静かになった。