もう一度、重なる手
「これ、返しとくね」
アツくんに渡されたのは、昨日の帰りに電源を切った私のスマホ。
恐々電源を入れてみると、一気に十件以上のラインの通知が届く。留守番電話も二件残っていて、それらは全て翔吾くんからだった。
〈いつ帰る?〉
〈どこにいる?〉
〈今、フミの家の前にいる〉
〈俺から逃げるなんて許せない〉
〈ごめん。謝るから電話に出て〉
怒ってみたり、下手に出たり。何件も届いている翔吾くんからのメッセージは、かなり情緒不安定だ。
昨日の夜、私がアツくんの家で守られている間に、翔吾くんはうちへ来たのだろうか。
翔吾くんからのラインは、時間をあけて夜中の三時頃まで一方的に送られてきていて。彼の私への執着の強さが狂気じみていて怖かった。
「念のため、仕事のあとも一緒に帰ろうか」
アツくんが、スマホを握りしめて青ざめる私の肩を叩く。