もう一度、重なる手
「でも、迷惑じゃ……」
「フミのことで、迷惑だと思うことなんてないよ。こんなライン見たら心配だよ。フミも不安じゃない?」
アツくんに問われて、小さく頷く。
私はもう、翔吾くんと穏便に別れることはできないのかもしれない……。
「今日は院長先生に頼んで、診察が終わったら仕事を上がらせてもらうようにするから。フミも、ギリギリまで仕事をして、職場を出るときは必ず誰かに付き添ってもらって」
「わかった」
不安な面持ちで頷くと、「大丈夫だよ」とアツくんが頭を撫でてくれる。
再会してすぐの頃は、子ども扱いされているみたいで恥ずかしかったのに。
今は、アツくんの手のひらの温度が私の気持ちを落ち着かせてくれた。