もう一度、重なる手

「じゃあ、俺たちも帰ろうか。あれから、小田くんからの連絡はあった?」

 昨日の夜から今朝にかけて翔吾くんからひっきりなしにラインがきていたことを知っているアツくんが、心配そうに訊いてくる。

「それが、今日は全く連絡がないの。由紀恵さんは諦めたのかもって言ってたけど、そうなのかな」

「どうだろうね……」

 アツくんが、神妙な顔付きでしばらく黙り込む。

「とりあえず、フミは今日も俺の家に来た方が安全なんじゃないかなとは思うけど」

 アツくんはそう言ってくれたけど、二日連続でお邪魔するのはさすがに悪い。

 明日から土日で仕事は休みだけど、服が一着では困るし、いつかどこかで覚悟を決めて帰らないといけない。

「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、着替えも必要だし、今日は家に帰りたい」

「そっか。じゃあ、フミの家まで送るよ」

「アツくんの家とは電車で逆方向だよ」

「それでも、心配だから」

 アツくんの言葉に、心臓がドクンと鳴る。
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