もう一度、重なる手
アツくんだって、仕事で疲れているだろうから真っ直ぐ帰りたいはずなのに……。
家まで付き合わせて申し訳ないと思う反面、心配して守ってもらえることが嬉しい。
「ありがとう……」
素直にお礼を言うと、アツくんにぽんっと頭を撫でられた。
「じゃあ、帰ろうか。もし途中で小田くんから連絡が来るようなことがあればすぐに教えて」
優しい言葉に頷くと、私はアツくんと並んで休憩スペースを出た。
エレベーターで一階に降りてビルの入り口付近までくると、不意に立ち止まったアツくんに肩を引き寄せられた。
「アツくん?」
びっくりして飛び退こうとする私に、アツくんが「あー、ごめん」と苦笑いする。
「外に出たら、フミはなるべく俺にぴったりくっついてて」
「どうして?」
「いや……。俺にはやっぱり、小田くんがそんなに簡単にフミを諦めたとは思えないんだよね。敢えて連絡をせずに、どこかで待ち伏せしてるって可能性もあるんじゃないかと思って」
アツくんの言葉に、心臓がヒヤリとした。