もう一度、重なる手
「アツくん、返して」
ベッドの端に立って、アルバムに手を伸ばす。
「フミ、必死すぎ。そこまで隠されると余計に気になるんだけど」
「あー、だめ。返してって」
アツくんが笑いながら、アルバムを私から遠ざけてベッドのそばから離れようとする。アルバムを取り返すことしか頭にない私は、アツくんの肩をつかむと思いきり引っ張った。
「あ、ちょっ、フミ……!」
力加減が強すぎたのか、引っ張られたアツくんがビーズクッションで躓いてよろける。
そのまま、アツくんが私をベッドに押し倒すように倒れてきて。必死で奪い返そうとしといたアルバムが私の顔の横に落ちてきた。
「ああ、ごめん……。大丈夫?」
仰向けに倒れた身体にアツくんの重みを受け止めたのは、ほんの一瞬。ベッドに膝をついて、すぐに上半身を起こしたアツくんは、気まずそうに私に謝ったあと、何かに気付いてハッと目を見開いた。
「それ……」
アツくんが見つめていたのは、さっきまで取り合いをしていた花柄の表紙のアルバム。
顔の横に落ちていたそれを慌てて手繰り寄せようとする手を、アツくんが「待って」とゆるく抑えた。