もう一度、重なる手
「ア、ツくん……」
キスの合間に名前を呼ぶと、アツくんがそれに応えるように私の唇を塞ぐ。そうして何度目になるかわからないキスを交わしたあと、アツくんが私の肩口に顔を埋めて深い吐息を零した。
「だめだ。これ以上フミとくっついてたら、キスだけじゃ終われなくなる」
私の耳元でそうつぶやくと、アツくんが身体を起こす。
「コーヒー淹れてもらうだけのはずだったのにね」
苦笑いしながら私の頬にそっと触れるアツくんに、胸がきゅっと詰まった。
アツくんのキスで火照った身体が熱い。
「コーヒーはただの口実だよ。アツくんに帰って欲しくなかったから。もっと一緒にいたくて部屋に誘った……」
「フミ……?」
驚いたように目を見開くアツくんの顔を見るのが恥ずかしくて、頬に触れる彼の手首をつかんでグイッと引っ張る。
前に倒れ込んできたアツくんの首に両腕を回すと、私は決死の思いで彼の耳に唇を近付けた。
「まだ、終わらないで。もう二度と、アツくんと離れたくない……」
ずっと好きだった。離れていても、アツくんのことを思い出さない日はなかった。
そんな彼と奇跡的に再会できて、気持ちを受け止めてもらえて。離れられるわけがない。