もう一度、重なる手
「だって、昨日の夜は首元に抱きついて俺を誘ってきた子が、朝は小学生の頃と変わらないあどけない顔で隣で寝てるんだよ。なんか変な感じというか、ちょっと罪悪感というか……」
昨夜のアツくんは、私のことを抱きしめて朝までそばにいてくれた。
気持ちを確かめ合った私たちの関係は、もう、ただの元義兄妹じゃない。
「後悔してる?」
不安になって訊ねると、アツくんが私の前髪をかきあげて、額にチュッとキスをしてきた。
「してないよ。変な感じがしたのは初めの数分だけ。そのあとは、昨日のフミのこと思い出しながら、可愛い寝顔を見てた」
起き抜けにかけられた甘い言葉に、ブランケットの下に隠した頬がかぁーっと熱くなる。
くるりと寝返りを打ってアツくんに背を向けると、余裕げにククッと笑った彼がブランケットごと背中から抱きしめてきた。