もう一度、重なる手
「アツくんの言ってる一生って……」
「一般的には結婚ってことになるんだろうけど……。フミはお母さんのこともあるし、結婚することにあまり良い感情を持ってないよね。だけど俺はこの先、どんなカタチでもかまわないから、フミと一緒にいられたらいいと思ってる。結婚ってカタチじゃなくても、ずっと一番フミの近くにいたい。だから、適当な同棲じゃないってことだけわかったうえで、フミがどうしたいかの答えをちょうだい」
アツくんの、優しいけれど真剣な眼差し。それを見つめ返しながら、私の心音は加速し続けていた。
ドクドクドクドク……、脈が打ちすぎて心臓が壊れるかもしれない。
翔吾くんにプロポーズをされたときは、自分が誰かと夫婦になってまともな結婚生活を送れるのか不安で堪らなかったのに。アツくんから持ちかけられた同棲の話には、不思議と不安を感じなかった。
素直にアツくんからの言葉を受け入れられるのは、今さら隠さなくても、彼には私の全てを知られているからかもしれない。
それに、再会したときからずっと、私も同じことを思っていた。
もう二度と離れたくない、って――。