もう一度、重なる手

「返事、今していい?」

 身体ごと振り向いて首を傾げると、アツくんが少し不安そうに身構えた。

「ゆっくり考えなくていいの?」

「考えても考えなくても、私の返事は同じだから」

 頷く私に、アツくんが戸惑い気味に瞳を揺らす。

「待って。俺も、心の準備がいるかも……」

「いらないよ。私、アツくんと一緒に住みたい」

「フミ……」

 アツくんの瞳が、驚いたように見開かれる。

「どうしてそんな驚いた顔するの? 私がアツくんの提案を断るわけないのに」

「でも、一生を縛るかもってなると話は変わってくるだろ」

 困ったように笑うアツくんに、私から顔寄せてキスをする。

「いいよ。私だって、この先もずっとアツくんの一番近くにいたいと思ってるから」

 微笑みかけると、アツくんがちょっと泣きそうに笑う。

「ありがとう。嬉しい……」

 アツくんが私の背中に両腕を回してぎゅっと抱きしめてくれる。それに応えるように、私も彼の背中に腕を回した。

< 188 / 212 >

この作品をシェア

pagetop