もう一度、重なる手
「返事、今していい?」
身体ごと振り向いて首を傾げると、アツくんが少し不安そうに身構えた。
「ゆっくり考えなくていいの?」
「考えても考えなくても、私の返事は同じだから」
頷く私に、アツくんが戸惑い気味に瞳を揺らす。
「待って。俺も、心の準備がいるかも……」
「いらないよ。私、アツくんと一緒に住みたい」
「フミ……」
アツくんの瞳が、驚いたように見開かれる。
「どうしてそんな驚いた顔するの? 私がアツくんの提案を断るわけないのに」
「でも、一生を縛るかもってなると話は変わってくるだろ」
困ったように笑うアツくんに、私から顔寄せてキスをする。
「いいよ。私だって、この先もずっとアツくんの一番近くにいたいと思ってるから」
微笑みかけると、アツくんがちょっと泣きそうに笑う。
「ありがとう。嬉しい……」
アツくんが私の背中に両腕を回してぎゅっと抱きしめてくれる。それに応えるように、私も彼の背中に腕を回した。