もう一度、重なる手
「十四年前に離れてから、ずっと後悔してたんだ。どうしてあのときに無理矢理にでもフミの手をつかまえて連れて行かなかったんだろうって何度も何度も自分を責めた。でも——」
手のひらで私の両頬を包んだアツくんが、おもむろに顔を近付けてくる。
「もう絶対に離さない」
鼻先が触れ合う距離で甘く痺れるような低い声でささやかれて、ドキリとする。
アツくんの熱のこもった眼差しに小さく身体を震わせた瞬間、噛み付くみたいに唇を塞がれた。
最初から深いキスをされ、舌を絡めとられて、徐々に身体が熱を帯びていく。
玄関先できつく抱きしめ合いながら何度もキスを交わしたあと、アツくんに正面から抱き抱えられるようにして靴を脱いで部屋にあがった。
けれどベッドのあるロフトまでは行きつけるはずもなく、私の身体はリビングのソファーに背中から下ろされた。
顔のそばに置いた手に、アツくんが手のひらを重ねて指を絡めて繋ぐ。
「フミ……」
愛おしそうに私を呼んで、アツくんが覆い重なるようにキスをしてくる。
私も……。
もう一度、巡り会えた運命を手放したりしない。絶対に。
繋がれた手をぎゅっと握り締めると、彼の唇の熱を受け止めながら目を閉じた。