もう一度、重なる手
「お寿司、おいしいね」
お寿司を食べているあいだ、私のほうからいろいろと話しかけてみたけれど、翔吾くんは終始無表情だった。
ここ最近は付き合ったばかりの頃のように機嫌良く笑っていた翔吾くん。彼が、むすっと黙り込むのはひさしぶりのことだ。
私がアツくんと電話をしていたことで翔吾くんを怒らせてしまったことは明白で。自分の失態を後悔するとともに、憂鬱な気持ちになる。
きっと明日から、また私の浮気を疑う翔吾くんからの抜き打ち検査が再開するのだろう。
翔吾くんといると、疲れる……。
重たい空気のなかでいただくお寿司は、口の中でもたついて。食べるのが苦しかった。