もう一度、重なる手
3.不安

 アツくんがオフィスビルの一階のカフェに現れたのは、13時を少し過ぎた頃だった。

「フミ、お待たせ。13時までには降りてくるって約束したのに、遅くなっちゃってごめんね。先に食べてくれてよかったのに」

 私が注文したサンドイッチを食べずに待っていたことに気付くと、アツくんが申し訳なさそうに謝ってくる。

「気にしないで。診察が伸びるかもって聞いてたし、大丈夫」

 にこっと笑いかけると、アツくんがテーブルにトレーを置いて私の向かいに座った。

 アツくんのトレーには、大盛りのカルボナーラとサラダ、アイスコーヒーが載せられている。

「午前の診察の受付は12時までなんだけど、今日は思ったより午前中の患者さんが多くて」

「昼と夜で気温の寒暖差が激しいし、体調崩しちゃう人も多いのかな」

「それもあるかも。ところで、フミはあと何分くらい休憩とれるの?」

「あと、三十分くらいかな」

 テーブルに置いたスマホで時間を確かめながら答えると、「そっか」とアツくんが少し残念そうに眉尻を下げた。

「一緒にいられる時間が予定の半分になっちゃって残念」

 きっと深い意味なんてないんだろうけど、アツくんの発言に思わずドキッとした。

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