もう一度、重なる手
電車に乗って連れて行かれたのは、翔吾くんが一人暮らししているマンションだった。
部屋の鍵を開けて私を中に引き摺り込むと、翔吾くんは玄関の壁に私の背中を押し付けて、かなり強引にキスをしてきた。
唇を貪るようなキスをしながら、服の上から私の胸に触れてきた翔吾くんの手にビクリとする。
「ちょっと待って……」
抵抗せずにいれば、このままここで身体を奪われそうな気がして静止をかけると、翔吾くんが私の胸の膨らみを手のひらでぎゅっとつかんだ。
「痛っ……」
「《アツくん》に触られて真っ赤になってたくせに。俺に触られるのは嫌なんだ?」
小さな悲鳴をあげた私を、翔吾くんが冷たい目で見下ろしてくる。
ホテルのロビーラウンジで、椅子の脚に躓いた私をアツくんが支えてくれたときに起きたハプニング。翔吾くんが、あのときの私の反応に怒っているんだと気付いた瞬間、すーっと身体が冷えた。
「別に嫌なわけじゃ……。あのときは私も、びっくりしただけで……」
慌てて否定したけど、翔吾くんはただ「ふーん」としか言ってくれない。