もう一度、重なる手
軽く問診を受けたあと、「フミ、アルコール消毒大丈夫だよね?」とアツくんが聞いてくる。
「うん」
「じゃあ、腕出して。貧血の検査しとくから」
「検査……?」
「そう。さっきは俺がそばにいたからよかったけど、あんなふうにしょっちゅうフラフラしてるなら心配だから。少しだけチクッとするよ」
テキパキと準備をしたアツくんが、左腕に注射器の針をあてて採血をする。
チクッとするとは言われたけど、アツくんの注射の仕方が上手いのか、刺された痛みはほとんど感じなかった。小さな試験官のようなものに三本分の採血をすると、アツくんが小さな四角い絆創膏を貼ってくれる。
「しばらく上から押さえといて」
「うん」
「結果が出たら連絡するけど、もし数値があまりに低かったらちゃんと診察受けたほうがいいよ」
「うん。でも、これまでちょっと立ちくらみがすることはあっても倒れたことは一度もないよ。今日はたまたま、調子が悪くなっただけで。だから、そんなに心配しなくても……」
大丈夫――。
その言葉は、アツくんのしかめっ面によって遮られた。