呼応する星たち【完】
☆☆★

 放課後。買い物に行こうと誘う由奈にごめんと断り、わたしは約束どおりドーナツ屋に向かった。

 相手は明希で、これは予行練習。
 それでも放課後に男の子と待ち合わせるのははじめてのことで、心臓はそわそわと騒がしくなった。

 ドーナツ屋の前で明希の背中を見つける。
 近づきながら呼びかけても、音楽でも聴いているのか、明希は反応しなかった。

 キャメルのダッフルコートが髪に合ってるな、と思いながら、軽く肩を叩いた。

「ごめん、明希。待たせたかな」

 振り向いた明希は少し驚いた顔をしてから、ゆるい笑顔を浮かべた。

「すごい。彼女っぽい」

 呼びかけただけなのにオーバーな反応。
 カップルみたいなことがしたい、という明希の想いは、わたしが思っていたより強いのかもしれない。

「ほい。俺の英語のノート。小春ちゃんのノートもちょうだい」

 明希はノートを差し出した。

「え、今日も交換するの?」

「うん」

 ノートを受け取り、数学のノートを差し出した。ふと、思い出す。
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