呼応する星たち【完】
「言ったじゃん。経験ないって。俺さ、そういう高校生カップルっぽいことをしてみたいんだよね。放課後にどっか遊びに行ったり、いまみたいにお茶したり。だけどほら、彼女いないし」

 それなら彼女をつくればいいじゃないか。

 明希は見た目は悪くないし、女の子と話すのだって慣れているように見える。どこまで本気かわからないけれど、明希のことを「けっこういいよね」と言う子は何人かいる。
 明希なら彼女をつくることは、きっと難しくない。

「春ちゃんだってそういうの憧れてるんじゃない? 漫画とかドラマの話して、尊いとかエモいとか、女子たちみんなできゃーきゃー騒いでるじゃん」

「えっ……」

「いいよな、ああいうの。嫌みで言ってるんじゃなくてさ、なんかすげえ楽しそうで、いいなって思うよ」

 そこまで大音量で騒いでるつもりはなかったけれど、明希に聞こえているということは、佐野にも聞こえているかもしれない。

 どうしよう。ミーハーな女だと思われていたら。
 明希は楽しそうでいいなんて言うけれど、佐野がどう思うかはわからない。
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