明日、この命が終わっても
その絵から目が離せず、ラーグリマはゆっくりとスケッチブックをめくっていく。鉛筆で描かれた白黒の絵しかない。だが、スケッチブックの中には美しいワンシーンが広がっている。
花に止まって蜜を吸うアゲハ蝶、シャボン玉に手を伸ばす猫、焼き立てのふわふわのパン、雨上がりの虹、大きなモミの木ーーー。繊細なその絵を見ていると、ラーグリマの胸に何かがジワリと広がる感覚がした。新品の真っ白なカーペットが何かで濡れていくような感覚に、ラーグリマは驚いてしまう。
「何なんだよ、この心は……!!たかが人間の描いた絵で俺は、俺は……!!」
大声でラーグリマは叫び、乱暴にスケッチブックを置く。人間に死神は見えない。だから、どれだけ叫んでも問題はない。
久しぶりに大声を出したことで、ラーグリマは息が上がってしまった。肩を大きく上下させ、息を吸ったり吐いたりを繰り返す。未だに落ち着かない心の中では、人間に命を渡して消えてしまった仲間のことが浮かんだり消えたりしていた。
花に止まって蜜を吸うアゲハ蝶、シャボン玉に手を伸ばす猫、焼き立てのふわふわのパン、雨上がりの虹、大きなモミの木ーーー。繊細なその絵を見ていると、ラーグリマの胸に何かがジワリと広がる感覚がした。新品の真っ白なカーペットが何かで濡れていくような感覚に、ラーグリマは驚いてしまう。
「何なんだよ、この心は……!!たかが人間の描いた絵で俺は、俺は……!!」
大声でラーグリマは叫び、乱暴にスケッチブックを置く。人間に死神は見えない。だから、どれだけ叫んでも問題はない。
久しぶりに大声を出したことで、ラーグリマは息が上がってしまった。肩を大きく上下させ、息を吸ったり吐いたりを繰り返す。未だに落ち着かない心の中では、人間に命を渡して消えてしまった仲間のことが浮かんだり消えたりしていた。