この胸が痛むのは
「王太子ご夫妻もいらっしゃいますし。
 色々と気になる事もございますので。
 何か情報を掴んできます。
 勝手に動くつもりはないので、先に殿下にお断りを入れているのです」


やっぱり、こいつは男だ。
俺が怒鳴りたいのを我慢してるのを分かってて目をそらさない。


「……好きにしろ」


 ◇◇◇


クラリスは俺とレイに軽く膝を曲げて挨拶をしてフォンティーヌ王女の居る一角へ近付いて行った。
そこには王太子夫妻も居て、いつの間にか第2王子のギルバートと婚約者も合流していたので、多くの若手貴族も集まり始めていて、賑やかになっていた。


「お前も行った方がいいな」

そちらを見て、レイが言う。
笑えるな、俺の生誕記念夜会なのに、俺の周りには誰も来ないんだからな。
機嫌を取る必要がない第3王子、それが俺だ。

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