この胸が痛むのは
俺には多くの警護が付いているが、そんなもの
は必要なかった。
誰だ、フォンティーヌが俺を狙っているなんて
言ったのは?
別に興味なんかないみたいだった。
クラリスが横に張り付いて、仲良しなんて演じ
なくてもいい。


レイ、俺の乳兄弟、レイノルド・マーシャル。
お前は俺より出来る男だって、スローン侯爵に
認めて貰ったんだろ?
無理に俺と居ることは無い。
お前もあそこへ行って、面白い事言って、皆を
沸かせてやれ。

俺はひとりでいい。
アグネス、君がここに居てくれたなら。


「俺は行かないけど、レイは行ったら?」

「アシュが行かないなら、俺も行かないし」

「……クラリスは何で俺に怒ってる?
 アイツもクジラの話に嗤ってたくせに」

「嗤ってなかったよ」

レイが俺の側に居てくれると言ったので、少し気分がましになって、クラリスへの文句を口にした俺にレイが意外な事を言う。


「クラリスは黙っていたけど、嗤っていない、って俺は気付いてたよ」

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