この胸が痛むのは
泣いていたという隣国の第２王女。
ここに来てから兄に騙されたと知らされたのか。
付き添いの友人達を蔑んだ肩書きに書き換えた
王太子は、どれ程妹やその周囲の人間を嫌って
いるのか。

リヨンの後継争いは落ち着いていなかったのか？
同腹の妹の結婚式で、フォンティーヌの悪い噂をばら撒くだけでは気が収まらない憎しみに、鳥肌が立つ。

打てば響くレイが俺に言う。


「……無事に王女はリヨンに帰国出来ると思うか？」

お前もそう思ったか。
リヨンの王宮の外に出たのは久しぶりだと言っていた。
彼女を王宮の外に出す為に、俺の生誕記念夜会を利用したんだ。


「王太子殿下に、ご相談してみるよ」


　◇◇◇


俺から話を聞いた王太子は、夜会の翌日帰国すると言うフォンティーヌ王女と朝食をとりながら、このまま全員での亡命を勧めた。
王女の同意を得たら、国王陛下に話すから、と
言った王太子にフォンティーヌ王女は、亡命も
バロウズ国王陛下に話すことも断った。

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