この胸が痛むのは
兄の自分に対する悪意を感じ取っていたのに、
母国には母親の第1妃が残っている事、自分が
亡命などしたら、母の立場が不味くなる事、同行してくれた全員が自分の意思を尊重してくれて
同意してくれている事を語ったそうだ。

もし、兄が何か仕掛けてくるのだとしたら、
バロウズ王国内ではないだろうから、国王陛下のお耳には入れたくありません、と断られて。
王太子は『惜しい』と、悔しそうに言っていた。



帰国の途についたフォンティーヌ王女が亡くなったと、聞かされたのは。
夜会の6日後、直ぐに王城に帰るようにと授業中に呼び出されて、乗り込んだ王家の馬車の中だ。
同様に早退したレイが既に乗っていて、その向かいには侍従のカランが居た。

俺を乗せると直ぐさま馬車は走り出し、カランから王女の死を伝えられた。

バロウズ王国の王都から2日かけて移動した
ガーランド港を出港したリヨン船籍の船は、
バロウズの海域を出てリヨンの領海に入って直ぐに浸水により沈没し、行方不明なのだと言う。
それが3日前の事だ。


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