この胸が痛むのは
帰宅した私は大急ぎでレニーを捕まえました。
どうしても確認したい事があったからです。


「学園で聞いたのだけれど」

出来るだけ普通に言おうと努力しました。


「殿下がお姉様に何かを贈られた、と聞いたの。
 それが何だか、わかる?」

「……」

「皆にいいなぁと言われたけれど、私は知らないでしょう?
 少しだけ自慢したいの、お願い、知っていたら教えて?」


姉の事を自慢したい妹の振りをしました。
王子殿下から愛される自慢の姉を、慕っている妹の振りを。


「……クラリスお嬢様が夜会から戻られて、ドレスのお着替えを手伝った者から聞いたのですが……」

それを信じた善良なレニーが話し始めました。


「お出掛けの際には身に付けられていなかったブレスレットなので、多分夜会前に殿下から贈られたのでしょうと」

「見たい! 見たいわ!
 どんなに素敵なお品なのか見たい!
 それはお姉様のお部屋にある?」

ブレスレット! どうしても、見なくてはいけない気がしました。
殿下が姉に贈ったブレスレットの実物をどうしても見たくて……


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