この胸が痛むのは
殿下はやはり、姉の事を気にしていらっしゃる。
ここははっきり否定しましょう。
「いいえ、私と祖母と祖母の世話役のご婦人と」
多分、後は護衛のような男性がひとり、それと
メイドや荷物持ちの下男が加わるぐらいでしょうか。
祖母は先代の伯爵夫人ですので、ふたりきりと
いう事にはなりませんから。
「じゃあ、どうしてトルラキアなの?
あの国は、あの、女の子が行きたがりそうな
感じじゃないよね?」
女の子……。
お誘いを断り、吸血鬼や悪魔や死人が棲む国へ
行こうとする女の子を心配するなんて、本当に
本当に。
殿下はお優しいひと。
「子供は怖いものが好きですから」
私がにっこり笑ってそう言うと、殿下は少しだけ困ったように微笑みました。
ここははっきり否定しましょう。
「いいえ、私と祖母と祖母の世話役のご婦人と」
多分、後は護衛のような男性がひとり、それと
メイドや荷物持ちの下男が加わるぐらいでしょうか。
祖母は先代の伯爵夫人ですので、ふたりきりと
いう事にはなりませんから。
「じゃあ、どうしてトルラキアなの?
あの国は、あの、女の子が行きたがりそうな
感じじゃないよね?」
女の子……。
お誘いを断り、吸血鬼や悪魔や死人が棲む国へ
行こうとする女の子を心配するなんて、本当に
本当に。
殿下はお優しいひと。
「子供は怖いものが好きですから」
私がにっこり笑ってそう言うと、殿下は少しだけ困ったように微笑みました。