この胸が痛むのは
「カードには何と?」

母から尋ねられて、私は小ぶりの封筒に入っていた薄い紫色のカードを読み上げました。


『人生9年目のレディへ
 好きなだけ食べるのは構わないが、虫歯には
気を付けること
 ちゃんと歯を磨いてね
 次の週末にご招待いただけたら、嬉しいです
 ……王子見習いより』


えーと、これは……。
我が家へ遊びに行きたいと、仰せになっていたのは。
冗談ではなくて、本気だった……って事なのかな?


「……見習い?
 アグネス! 貴女、ウチに殿下をお誘いしたの?」

大騒ぎするかと思っていた母が静かに私の腕を取ったので、それが却って母の驚きを私に伝えてきました。


「あの、お誘い、になるのでしょうか?
 バックスの子犬の話を致しました……それで殿下が子犬を抱きたい、と……。
 私じゃなくて、子犬に会いに来られるのだと思うのです」
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