この胸が痛むのは
そんな事はありえないよな、と思いながらも、色んな事を想像してしまう俺。
反して俺を動揺させたクラリスは最近元気が良い。
理由を聞くと、アグネスのお陰でストロノーヴァに接近出来るから、と臆面もなく答える。


「火曜と金曜は初等部は午前中だけなので」


その日の昼休みに図書室に会いに行くそうだ。
『アグネスがお世話になりまして』
妹を理由にして、会いに行くそうだ。

気になるだろうに、妹の邪魔はしたくないから
来ない日に行くと言われたら、俺もアグネスに
曜日を合わせて、ここへは来れない。

そんな風に隣にレイが居ても隠さず話すから、
横目で確認するとレイは微妙な顔をしていた。
気付いたな、諦めるかな。
ストロノーヴァの前では、乙女らしいぞ。



今日は火曜日なので初等部はもう下校している。
クラリスは委員会で呼び出されていて、図書室には来られない。
それで俺はレイと、こうしてやって来た。
毎日入れ替りで会いに来るスローン姉妹を夢中にさせている男の顔を見る為に。


俺は彼が教える伝承民俗学を選択していないし、レイも全て俺に合わせているから同様だ。
直接の教え子ではない俺達にストロノーヴァは
どのような対応をするのだろうか。


< 159 / 722 >

この作品をシェア

pagetop