この胸が痛むのは
母はたとえ何年かかっても、妹からの信頼を取り戻す、と決めています。
だから、辺境になんかアグネスを取られたくないと必死なんです。


 ◇◇◇


これで終わりなのか、それとも一旦休憩か。
クラリスが飲み物を口にした。
それで俺は質問する事にした。

侯爵家の子育てが、どうのこうの俺にはわからない。
俺だって、王妃陛下ではなくアライアに育てられた。
レイは生後5ヶ月で、母親を俺に取られている。

王族や高位貴族は乳母に育てられるのが普通だと思っていたけれど……
夫の侯爵だって、そう育ってきたはずだ。
俺達には侯爵夫人の悲しみ?は、わからない。


「あの俺へのプレゼントからアグネスと侯爵夫人はぎくしゃくしているんだろ?
 母なりに想って、って何なの?」

「プレゼントって、どんどんエスカレートしていくのです。
 殿下がもしアグネスに首飾りを贈ったとします。
 翌年には何を贈りますか?
 チョコレートにはなりませんよね?
 前に贈った以上の品を贈ろうとされるでしょう?」

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