この胸が痛むのは
ウチの王家が噛んでいる可能性は高い。
だから、わざと王太子がガーランドにまで出て
大騒ぎした?
責任だ、協力すると、半ば強引にリヨン国内に
入った割には、捜索終了になるとさっさと帰ってきた。
その時にリヨンの王宮に、国内に、何かの種を蒔いてきたか。


俺の想像が正しいのだとすれば、王太子はフォンティーヌ王女にその価値があるのだと判断したのだ。
いつか王女が立った時、援助の見返りに何を約束させたのだろう。


大して役に立たないガキの俺を連れていったのはそれに気付かせる為か。
兄が俺に期待するのは、それか。
同腹だからこそ、見せられる腹の中。
言葉にしなくても、国王の立場上自由に動けない自分の代わりに動いてくれる駒。
国内は王弟のギルバートに、外交は俺に。


侯爵が伝えたかったのはこれか。
同腹でしかないが、同腹でしか貰えない『王からの信用』だ。


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