この胸が痛むのは
懸念の旅費についてはレイから話を聞いたカランが頑張ってくれた。
アライアには秘密、と言うと張り切ってくれたらしい。
財務の仕事をしている知り合いに頼み込んでくれてスローン侯爵の事務方に話を通して貰って、
外交費用みたいな名目で計上して貰えることになった。
そして、それを侯爵が承認印を押してくれたのだ。
今回は外交活動なんて一切しないのに。
あの侯爵が?
アグネスがいるトルラキアに俺が行くのに協力してくれた?
それを聞いた時は素直に受け取れなくて、また俺を叱る為の罠か、と疑ってしまった。
骨を折ってくれたカランも誘うが
『トルラキアなんて、絶対に行きません』と、断られた。
吸血鬼に襲われる夢を幼い頃に何度も見たらしい。
「俺にはわかってたよ。
クラリスが絵葉書をアシュに送るのを、あの
侯爵が黙認してるんだからな?」
レイはそう言うが、あの侯爵が、だぞ?
侯爵が毎回こんな優しさを見せてくれれば、もう少し馴染めるのに……
言い方がキツいからな。
だが、とにかく。
皆の協力や心遣いがありがたくて。
まだまだ俺はひとりでは何も出来ない。
それだけは、心に刻む。
アライアには秘密、と言うと張り切ってくれたらしい。
財務の仕事をしている知り合いに頼み込んでくれてスローン侯爵の事務方に話を通して貰って、
外交費用みたいな名目で計上して貰えることになった。
そして、それを侯爵が承認印を押してくれたのだ。
今回は外交活動なんて一切しないのに。
あの侯爵が?
アグネスがいるトルラキアに俺が行くのに協力してくれた?
それを聞いた時は素直に受け取れなくて、また俺を叱る為の罠か、と疑ってしまった。
骨を折ってくれたカランも誘うが
『トルラキアなんて、絶対に行きません』と、断られた。
吸血鬼に襲われる夢を幼い頃に何度も見たらしい。
「俺にはわかってたよ。
クラリスが絵葉書をアシュに送るのを、あの
侯爵が黙認してるんだからな?」
レイはそう言うが、あの侯爵が、だぞ?
侯爵が毎回こんな優しさを見せてくれれば、もう少し馴染めるのに……
言い方がキツいからな。
だが、とにかく。
皆の協力や心遣いがありがたくて。
まだまだ俺はひとりでは何も出来ない。
それだけは、心に刻む。