この胸が痛むのは
リーエにはプレストンから貰った小瓶を見せていたので、かけた事がばれました。
私も何だか可笑しくて、ふたりで笑っていたら、ベイシス夫人が私を呼びに来ました。 


私はいいよ、と遠慮するリーエと腕を組んでサロンへと向かいました。
サロン内では、祖母と殿下とマーシャル様、護衛騎士様が扉の前にひとり、殿下の後にひとり。

いち早く、私達に気付いたマーシャル様がにっこり笑って、手を振ってくださって。
祖母と話をしていた殿下が、立ち上がって迎えてくださいました。
私に大人の女性に対するような扱いをするので、今日の殿下は以前と違う人みたいで。

殿下は祖母の近くの椅子を、私とリーエにお譲りくださって、ご自分はマーシャル様のお隣に移動してくださいました。


「リーエも一緒に来たのね、丁度良かったわ。
 アグネス、明日は殿下達と観光に行ってらっしゃいな。
 お隣の街で、市場が立つそうなの」

「おばあ様はどうなさるのですか?」

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