この胸が痛むのは
それでもパエルさんは止まらないので、殿下が
護衛騎士様に合図して、ひとりの方が走って
パエルさんを捕まえてきました。


おかわいそうに彼はすっかり怯えていて、リーエに文句を言っているようなので、ふたりが喧嘩になったらどうしようと心配だったのですが、
リーエが背伸びをしてパエルさんの頬に触れて
何か話したら、彼の機嫌は治りました。

ふたりの仲直りを間近に見て安心しましたが、少し恥ずかしくて。
殿下の方を見ても普通にしていらっしゃいましたが、マーシャル様が小さな声で
『もう仲直りか、つまらん』と仰っていて、それは聞こえない振りをしました。
そんな私の様子に殿下は気付かれたようで、マーシャル様を軽く小突かれていました。

馬車は2台あって、殿下の御一行は馬2頭と馬車1台でご入国されたので、昨夜の内にもう1台を手配をされていたようでした。
殿下は4人いらっしゃる護衛騎士様達に、2人は残って祖母について行くようにと仰せになりましたが、
『自分達は殿下をお守りする為に』とお返事をされていて。
昨夜の時点で、全員で付き添われて行くおつもりだったようで、お二人は馬車、お二人は馬で前後を守る予定だと、殿下にご説明されていました。

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