この胸が痛むのは
確かにバージニア王女殿下からは色々と言われ、取り巻きのご令嬢方からも責められましたけれど、殿下に謝っていただくような事ではないのに。


「バージニアに、それと俺にも言いたい事あるよね?
 ちゃんと受け止めるから、遠慮なく言って欲しいんだ」


バージニア王女殿下に言いたい事?
そうだ、あれかなぁ、遠慮なくって言われたから言おうかな、と思って。


「バロウズのキリン令嬢だけは、やめて欲しいです」

「キリン?」

「リヨンのクジラ王女みたいに、私にはキリンと名付けてあげると言われました」

「……それは本当に、失礼な事を言って。
 申し訳ない……ごめんなさい」

殿下の表情はまた先日のように暗くなられていてまたリヨンの王女殿下の事をクジラと言ってしまったことに気付いて、失敗を悟りました。
私は本当に馬鹿です、また口を滑らせてしまったのです。


しばらく馬車のなかは無言が続いて……
リーエから言われていた事を思い出しました。

『あきらめるのは、フォード様にちゃんと聞いてからだよ』

私は思いきって聞くことにしました。


「殿下が姉に贈られたブレスレットなんですけれど」

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