この胸が痛むのは
「姉上には、俺が好きな人がいることをバラしたのは黙っててくれないかな?
 どんな目に合わされるか、わからない」

等と、殿下が冗談のような事を本気のような感じで話されていたので、姉から話してくれるまで黙っていようと思いました。


別れが寂しいと思ってくれているのは、リーエも同じようで、ホテルでは私達はいつもくっついていました。

トルラキアの男の子と付き合えば、言葉は直ぐに覚えるよ、と言われましたが、女の子とずっと一緒に過ごすのも習得するにはいいんじゃないか、と少しずつ彼女からトルラキア語を習っていました。


殿下にも何かお土産を渡したくて、出会い市で再び組み紐を買いに行きました。
ところが、私の思う色がなくて途方に暮れていたら、お店のおばさんがリーエに注文してくれたら作るよ、と言ってくださったそうです。
ですが、明日帰国するのに……と、逡巡していると。
『私が取りに来て、後でアグネスに送ってあげるから』と、リーエが請け負ってくれたので、甘えることにしました。


祖母はトルラキアで夏別荘を購入すると、決めたようでした。
< 204 / 722 >

この作品をシェア

pagetop