この胸が痛むのは
第36話
トルラキアから帰国して、夏休みが終わり。
私は初等部4年生、殿下は高等部の2年生に進級致しました。
新学年が始まっても、お昼休みの図書室には
ストロノーヴァ先生は居てくださって。
私はトルラキア旅行の報告や思い出、一生懸命にバロウズの言葉を話してくれたシュトウブさんやペテルさん、リーエの話を聞いていただきました。
ただ先生のご実家がトルラキアの有名な公爵家だと知った事は話さない方が良いかと、黙っていました。
それは以前、先生が『家名が重要視されるのが嫌だった』と仰られて居たからです。
遠いご先祖のヴァンパイア王を、他人事のようにお話しになっていたので、今でも嫌なんだろうなと思ったのです。
先生が一番楽しそうに聞いてくださったのは、
殿下の侍従のカラン・ワグナー様が吸血鬼が大好きらしいという話でした。
「あれをベッドサイドに飾ったら、悪夢しか見ないだろうに、変わっているな」
そう仰る先生も大変個性的な方だと思います、とは言えませんでした。
床に直接座ったり、腹這いで寝転んで読書に夢中になっている先生。
それでも時々は図書室にいらっしゃらない日もあって。
私は初等部4年生、殿下は高等部の2年生に進級致しました。
新学年が始まっても、お昼休みの図書室には
ストロノーヴァ先生は居てくださって。
私はトルラキア旅行の報告や思い出、一生懸命にバロウズの言葉を話してくれたシュトウブさんやペテルさん、リーエの話を聞いていただきました。
ただ先生のご実家がトルラキアの有名な公爵家だと知った事は話さない方が良いかと、黙っていました。
それは以前、先生が『家名が重要視されるのが嫌だった』と仰られて居たからです。
遠いご先祖のヴァンパイア王を、他人事のようにお話しになっていたので、今でも嫌なんだろうなと思ったのです。
先生が一番楽しそうに聞いてくださったのは、
殿下の侍従のカラン・ワグナー様が吸血鬼が大好きらしいという話でした。
「あれをベッドサイドに飾ったら、悪夢しか見ないだろうに、変わっているな」
そう仰る先生も大変個性的な方だと思います、とは言えませんでした。
床に直接座ったり、腹這いで寝転んで読書に夢中になっている先生。
それでも時々は図書室にいらっしゃらない日もあって。