この胸が痛むのは
「全部、俺の自業自得なんだ。
 レイとしか、親しくしてなかったから、いざ噂を否定しようとしても、話す相手がいない」

「殿下と仲良くなりたい御方はたくさんいらっしゃいます。
これからどんどん仲良しを作ればいいのです」

「……そうだね。
 うん、そうだ、これから。
 これから俺は変わるようにするよ」


……今思うと。
私の、どの口が偉そうに言うのでしょう。
私こそ、学園の友人達には心を開いていなかったのに。


「とにかく噂なんか信じないで。
 君は俺の言うことを信じてくれたらいいんだ」


私は頷きました。
何を聞かされても、噂なんか信じません。
私は貴方が語る言葉と、自分自身の目で見た貴方の姿だけを信じます。


 ◇◇◇


そして穏やかに歳月は過ぎて行きました。
初めてトルラキアを訪れて、殿下と気持ちを通わせる事が出来てから、3年が経とうとしていました。

リーエに心配されていた通り、アシュフォード殿下を慕う女性の数は年々多くなり、その原因は姉曰く、
『何故だか、男女問わず皆に愛想よくなっちゃって。
 王子スマイル連発するから、女子がその気になってしまって』ということでした。


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