この胸が痛むのは
リーエとは、我が侯爵家に色々とあって、2年連続で祖母の避暑に御一緒出来なくて、顔を合わす事は出来なかったのですが、手紙のやり取りは続けていました。
2年続けて祖母と一緒にトルラキアへ行けなかったのは。
1年目は兄プレストンが、体調を崩したせいでした。
昔は体が弱く、高熱を出すことも多かったと聞く兄でしたが、私が物心つく頃にはそんな事は一切無かったのです。
発熱して寝込んだ兄の部屋で幾晩も、誰にも任せず寝ずの看病をする母は疲れているのに張り切っているようにも見えて。
そんな母に、祖母からの避暑のお誘いが来た事は言えなかったのです。
『遠慮しなくてもいいじゃない、いっていらっしゃい』と姉に言われましたが、寝込んだ兄とやつれた母に、行ってきますとは……
母まで倒れてしまいそうな気がしていました。
看病を私達で交代した方がいいのでは、と姉に
提案したのですが。
「お母様は14年分の想いがあるのよ。
誰にも譲らないわよ」
母の譲らない想いとは何なのか、これ以上は姉は話す気がなさそうでしたし、父さえもが短い仮眠を取るだけで徹夜を重ねる母を止めることはありませんでした。
2年続けて祖母と一緒にトルラキアへ行けなかったのは。
1年目は兄プレストンが、体調を崩したせいでした。
昔は体が弱く、高熱を出すことも多かったと聞く兄でしたが、私が物心つく頃にはそんな事は一切無かったのです。
発熱して寝込んだ兄の部屋で幾晩も、誰にも任せず寝ずの看病をする母は疲れているのに張り切っているようにも見えて。
そんな母に、祖母からの避暑のお誘いが来た事は言えなかったのです。
『遠慮しなくてもいいじゃない、いっていらっしゃい』と姉に言われましたが、寝込んだ兄とやつれた母に、行ってきますとは……
母まで倒れてしまいそうな気がしていました。
看病を私達で交代した方がいいのでは、と姉に
提案したのですが。
「お母様は14年分の想いがあるのよ。
誰にも譲らないわよ」
母の譲らない想いとは何なのか、これ以上は姉は話す気がなさそうでしたし、父さえもが短い仮眠を取るだけで徹夜を重ねる母を止めることはありませんでした。